対談 株式会社フジテレビジョン様

フジテレビが進めるTVのデジタルトランスフォーメーション化

  • 株式会社フジテレビジョン
    コンテンツ事業室
    部長職



    2005年フジテレビ入社。モバイルサイトプロデューサー、CS放送スポーツ編成、ゲームプロデューサーを経て2012年からFODの事業執行責任者として現在に至る。
    オリジナル番組「めちゃ×2ユルんでるッ!」「めちゃ×2タメしてるッ!」「ラブホの上野さん」「360°まる見え!VRアイドル水泳大会」「バービー&村上佳菜子の編集長 私、イイ女になりたいの」「世界をマンガでハッピーに!」「スクールジャック!!」のプロデューサーも務めている。

    野村 和生

  • 株式会社サイバー・コミュニケーションズ
    ブロードキャスティング・ディビジョン
    放送・動画ビジネス領域担当
    エグゼクティブ・スタッフ兼グループ・マネージャー

    2006年にCCI入社。動画CMの商品開発やオペレーションに関わり、2007年に電通と音声広告ネットワーク(PodcastAD)の立ち上げと音声広告配信システムにおける特許を取得する。2009年以降、媒体社様への広告配信システムや分析ソリューションの提供やコンサルティングを行う。
    現在、放送局様や動画配信サービス事業社様を中心にソリューション提供やオペレーション、ライブ配信、プログラマティック取引、商品開発とセールスなどの環境整備に従事。

    國分寿隆

CCIは放送局と共に広告配信ソリューションを通じて様々な課題解決に取り組んで参りました。テレビ番組を見逃した視聴者に対して、放送局のサイトに行けば見逃した番組を期間限定で無料視聴できる見逃し配信サービスが数多くあります。 フジテレビが提供する見逃し配信サービス「フジテレビオンデマンド(省略FOD)」にも地上波で放映された数多くのコンテンツがあり、テレビ的に広告が挿入されています。放送局のビジネスにとり重要な広告配信について、本稿ではFODの生い立ち、CCIがどう貢献できているのか、FODの最新の動向などを紹介していきます。

FODの誕生背景

CCI:

FODについて教えてください。

野村:

FODはフジテレビが運営するインターネット動画・電子書籍配信サービスです。FODは現在放送中のドラマやアニメ、バラエティ番組の見逃し視聴ができるほか、以前フジテレビで放送されていたドラマや人気番組を配信しています。さらに、FODでしか見られないオリジナル番組も配信しています。

CCI:

どのような背景でサービスを開始したのですか?

野村:

当時は民放各局でも様々なサービスを実験していたと思います。インターネットを通して自社のコンテンツを配信したいという気持ちは当然あったと思っています。まだ権利処理ルールが定まっていないなど配信への壁があるなか、2005年9月にFODのサービスを開始しました。アイドリング!!!、競馬予想TV!といった、オリジナル番組をコンテンツ・プロバイダとして外部提携サイトへ配信していました。当時は広告付きのモデルではなかったですね。立上げ時の組織は、CS放送部門の中にフジテレビオンデマンド班が設置されました。何故、その部門に設置されたかというと、CS放送は地上波よりも権利処理対象物が少なかったからだと思います。競馬予想TV!は、JRAが既に中央競馬映像の配信における権利処理ルールを明確化してくれていたこともあり配信できました。

CCI:

サービス開始が2005年ですか!このタイミングは何故ですか?

野村:

この質問は難しいですね、何故ならば当時の立上げメンバーではなかったからです。2012年から参加しましたからね。フジテレビは2006年から、CS放送や動画配信することを前提に、アイドルグループの「アイドリング!!!」のプロジェクト立上げたので、そこに連動していたのかなと思います。、当時は新しいことにチャレンジしようという感じが強くありました。出演者の所属事務所にも新しい取組みに理解と協力をいただいて実現できました。

CCI:

CS放送の部門から独立したのはいつのタイミングでしたか?

野村:

地上波番組を配信しようとしたタイミングで、その第1号が「あいのり」という恋愛バラエティ番組でした。当時は地上波コンテンツの二次利用のルールが明確に定まっていなかったために、番組中の旅の部分はそのまま配信し、タレントが出演するスタジオ部分はFOD用に録り直して配信していました。当時のFODは外部パートナーにFOD専用のエリアを設けてもらって番組を配信していたため、配信するタイミングがパートナー側の運用スケジュールで行われていました。地上波の番組については配信のタイミング、公開までのスピードが重要だと考え自社のプラットフォームを立ち上げて配信を開始しました。

実はFODの自社プラットフォームの前に動画配信をした実績がありました。米国ロサンゼルスで実施されたUCLAの研修プログラムに参加した時に、米国で話題になっていたモビソードというのを知りました。有名なドラマを短尺に加工したモバイル向け(当時はフィーチャーフォン)動画配信が話題になっていました。当時参加した自分も含めて4名のメンバーと日本国内でやってやろうという話になり、連続ドラマ「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~」のスピンオフをモビソードで実施しました。FODではなく、フジメロというフィーチャーフォン向けの音楽配信サービス上で配信を行いました。

その後、朱蒙(チュモン)という韓国ドラマがあり、フジテレビはモバイルの配信権を持っていて待ち受け画面以外に本編の動画配信もできるということになり、当時はフィーチャーフォン向けの長尺動画の配信技術がなかったので、jigブラウザというアプリを使い配信しました。このように自社プラットフォームが立ち上がる前に、やれることをやりながら様々な取組みにチャレンジしてきました。フジテレビは、インターネットで動画を視聴するという時代が進むことを見据えて、自社でしっかりと配信プラットフォームを持つことと、コンテンツの権利処理交渉を関係各社へ働きかけた結果、NHKや他の在京キー局に先駆けて2008年11月に地上波ドラマの有料見逃し配信をFODで展開できました。

CCI:

当時、経営層などからは広告によるマネタイズ化の話はなかったのですか?

野村:

あったと思います。モビソードでいうと、有料配信だけでなく、提供の広告スポンサーが付いて無料配信したこともあったのですが、アクセス数や現場の作業負荷等もあったと思いますが、約1年で終了し、長続きしなかったので、当時は持続的なマネタイズが思うようにできなかったと思います。

広告付の見逃し配信を開始した切掛け

CCI:

広告付の見逃し配信を開始した切掛けはなんですか?

野村:

2014年に日本テレビの無料見逃し配信が開始し、当時は衝撃を受けました。そこからフジテレビは無料見逃し配信サービスの立上げに約1年かかりました。社内では地上波視聴が侵されるのではないか等の懸念がありました。議論の最中、イギリスの各テレビ局へ視察にも行き、様々な放送局とディスカッションを行いました。イギリスでは、2007年頃から広告付の見逃し配信を実施し、マネタイズしており、「地上波に悪影響はないか」という質問に対しては、「影響しない」と回答をそれぞれの放送局から得ることができました。この視察により疑念の一部が払拭されたと思います。狙いは、テレビのリアルタイム視聴離れが進んでいることから、リアルタイム視聴を促し、テレビでの番組視聴機会を拡大することや、国内外の海賊版による不正コピーの抑制を目指すことです。

無料配信のインフラ費用などを賄うため、広告で収益を得る必要がありますので、テレビCMようなコンテンツ前にCMを挿入するプリロールやコンテンツの中にCMを挿入するミッドロール、コンテンツ終了後にCMを配信するポストロールで収益化を行います。

なぜ、CCIのソリューションとサポート

CCI:

CM配信はCCIがお手伝いさせていただいていますが、なぜCCIのソリューションとサポートサービスを選択いただけたのでしょうか?

野村:

フジテレビとCCIさんとは動画広告配信に取組む前、バナー配信から取り組んできました。当時はバナー配信のプラットフォームが動画配信でも利用できたということ、プラットフォームの提供、アドネットワークによる収益化、設定オペレーション専門担当者の派遣などを通して、様々な課題に一緒になって取り組んでくれたことで信頼たるパートナーだと判断しました。

CCI:

ありがとうございます。長年フジテレビの一員として一緒に業務にあたっている弊社社員にも大変感謝しています。

CMを管理しているアド・プラットフォーム「SpotX」について

CCI:

現在、SpotXを利用いただいておりますが評価はいかがでしょうか?

野村:

以前利用していたアド・プラットフォームよりCMの設定工数が大きく減り、より多くの案件を受け入れられるようになったと感じています。

PMP案件に対応するためのSSP機能もプラットフォーム機能と統合しているので、より今の時代にあっていると思います。今後は日本向けによりローカライズされることを期待しています。

CCI:

ありがとうございます。SpotXは高機能なアド・プラットフォームとして配信と管理、レポート機能のほか、PMPを構築する上で必要なSSP、ライブ配信における負荷処理を得意とする高度な技術が搭載されており、昨年夏頃からフジテレビでも利用が開始されました。引続きフジテレビの広告ビジネスを支える基幹システムとして活躍すると思います。

インストリームの運用型広告

CCI:

今年から運用型広告案件に在庫を提供しましたが、評価はいかがでしょうか?

野村:

運用型広告は、実施するまでは全貌がみえていないこともあり、不安が多いのも事実で、やってみないとわからないというのも、始めた理由の一つだった思います。それと、運用型広告の中で安心安全な広告在庫を提供する必要が媒体社にはあると考えていますので、放送局の提供するコンテンツとそこから生れる広告在庫は最も安心安全と言えると思います。今後、放送局で展開する運用型広告はコストパフォーマンスがいいと言われるようにしていきたいと考えています。

CCI:

そうですね。貴社も含めて放送局全般的に言えることだと思いますが、様々な配信データよりビューアビリティや完視聴率が高いという結果が出ており、プレミアムなコンテンツということがデータからも示せていると思います。

フジテレビ社内で運用型広告へ在庫を提供することになったことについて、調整が大変だったのではないでしょうか?

野村:

そうですね。とにかく経験がないことでしたので何度かCCIさんが勉強会や情報を提供してくれた結果、社内への説明や調整に役立ったと思います。運用型広告における情報不足からの不安はあったと思いますが、そこをCCIさんの力も借りながら進めて行きました。

OTT、同時配信、データ

CCI:

今後の展望、OTTや同時配信、データの取組についてお聞かせください。

野村:

既にFODアプリはAndroidTV、Amazon FireTVなどのテレビ端末に対応し、有料配信の15%はテレビ端末で見られています。テレビ端末での無料配信需要は非常に大きいのではないかと考えています。FODは月間500万ユニークユーザーがおり、無料配信にした場合、月間で75万ユニークユーザーがテレビ端末での視聴を体験する可能性があります。同時配信の取組みについては、実験レベルで引続きチャレンジをしていきます。技術面もですが、権利面なども議論する必要があり様々な課題が未だあるのも事実です。データについては、FODは早くから属性アンケートの取得を行いました。これも長い目をみて必要だと思ったからです。イギリスの放送局視察の影響も受けていて、イギリスでは無料配信を視聴するにはIDとパスワードを入力させる放送局が多いです。このデータを利用してマーケティングや広告に利活用をしているそうです。FODではデータの利活用を見据えつつ、そしてより多くの視聴者の方に観ていただくため、アンケートの取得方法も個人が特定できないようにするなどの工夫をしながら進めていきました。

CCI:

先日、SpotX等とご一緒にトークセッションさせていただいたDIGIDAYでは、データについて取り上げさせていただきました。

(DIGIDAYの様子はこちら) >

野村:

トークセッションの時間が短かったので、ちょっと不完全燃焼でしたね(笑)

CCI:

次回また機会があれば完全燃焼できるように、よろしくお願いします。

野村:

最後にですが、FODは視聴者の皆様に対してFOD上での視聴体験を最大化するように心がけてサービスを展開しています。コンテンツ以外に広告も含めて、視聴者の皆様にストレスなく視聴していただくことが重要だと思っております。

CCI:

視聴者へのサービスに対して、細部に渡る配慮が各所にされているのですね。

本日は貴重なお話と時間をいただきまして、誠にありがとうございました。

引続き、CCIは貴社との課題に一緒に向き合い、様々なサポートをしていければと思いますので、よろしくお願いします。

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