株式会社小学館様(前編)

【Media UX LAB サービス事例紹介①】
PVは22倍、UUは4.5倍へ急成長
小学館「8760 by postseven」のリニューアル戦略(前編)

CCIが、THE GUILD社、TesTee社と共同で展開している、メディアビジネスにおけるUX/UIの改善プロジェクト「Media UX LAB」。デジタルファーストの価値観が浸透していく中で、モノ消費からコト消費へと重心を変えるユーザーに合わせて、メディア内でのユーザー体験を可視化し、現代のデジタルメディアに求められるUXデザインをメディアと一緒になって作っていく取り組みです。
今回は、Media UX LABがUX/UI改善に参加し、2021年5月27日にリニューアルを果たした小学館のメディア「8760 by postseven」(読み方:ハチナナロクマル バイ ポストセブン)にフォーカス。前編・後編の2回に分け、サイトリニューアルに至る背景から、ユーザー体験向上を目的とした市場/競合リサーチ、コンセプト設計など、そのリニューアルの過程、そしてリニューアル後に本メディアで起きた環境変化について紹介していきます。

本来のメディアパワーを発揮するためのリニューアル施策をメディア UX LABが支援

「8760 by postseven」の前身メディアである「DIETポストセブン」が立ち上がったのは2016年。その名の通り、「ダイエット」関連のテーマを軸に、「NEWSポストセブン」のバーティカルメディアとして誕生しました。大手メディア企業としての確かな企画・編集力を武器に、医師や管理栄養士ら専門家への取材を通して作るコンテンツはユーザーから支持されていたものの、収益の柱として計画していたタイアップ広告の売上が伸び悩んでいたといいます。


大きな原因のひとつは、メディアのメインコンセプト。「ダイエット」は、専門性の高さゆえに広告主が限られてしまい、またその出稿先も、特定のメディアに集中してしまっている状況でした。さらに、同コンセプトが、コンテンツ作りの幅を限定してしまい、「ライフスタイル」などの周辺領域までテーマを広げようとすると、メディアとしての方向性がぶれ、ユーザーの混乱を招く…といったメディアグロースそのものへの影響も小さくなかったといいます。そんななか、状況打開のためのサイトリニューアルにともない、協力の打診を受けたのがMedia UX LABでした。


「当初は、自社でリニューアルを計画していましたが、広告市場の分析やタイアップ広告獲得に向けた取り組みなどでお付き合いがあったCCIから本プロジェクトを紹介され、“UXを軸にしたサイトリニューアル”に魅力を感じ、協力していただくことを決めました」(株式会社小学館「8760 by postseven」・編集長/大橋氏)


こうして、小学館のコンテンツ開発力と、Media UX LabのUX知見をかけ合わせることで、メディアに求められるUXデザインをあらためて見直すリニューアルプロジェクトがスタートしました。

リニューアルに向け、事前リサーチによってメディアの現在地を数字で可視化

新たなUXデザインの構築に向けた取り組みは、【①事前リサーチ/②コンセプトの再定義/③新コンセプトを基にしたサイトリニューアル】の3つのフローで進行。Media UX LABでは、主に①②にあたる、UX軸でのリニューアルに向けた事前リサーチとコンセプト再定義のメンタリングを実施しました。事前リサーチは、スマートフォンを活用したマーケティング調査を強みとするリサーチ企業、TesTee社が担当。


「事前の定量調査における目的は大きく2つを設定しました。第一にターゲットを取り巻くどのような市場に需要があるのかを調べる【市場調査】、次に本メディアがユーザーにどう評価されているかを理解するための【メディア分析】です」(株式会社TesTee・リサーチャー/高山氏)

前者については、各ジャンルにおける市場のボリューム、ターゲットの年代構成、競合性、不可欠度などを軸に調査。結果、顧客ニーズは高いが、すでに圧倒的な競合メディアが存在する「料理・レシピ」など、新規参入が難しいジャンルや、一方で「節約/お得情報」「家事/収納」「時短」など、競合性が低く、需要が高い、すなわち参入領域として可能性の高いジャンルの双方が判明。本メディアがこれから注力すべきジャンル・領域の取捨選択の判断をサポートしました。


一方、後者の「DIETポストセブンがユーザーにどう評価されているのか」については、トップページや各記事ページのイメージ、サイト内カテゴリ等からコンテンツの内容がどのくらい想像しやすいかの想起性、それらカテゴリの記事をどのくらい読んでみたいのかの利用意向などについて調査。


各項目をポジ・ネガ両側面から調査するなかで、記事内容にはポジティブな反応が見られる一方、一部のカテゴリ名がユーザーにとってコンテンツ内容を想起しにくいことや、トップページの印象が年代にかかわらず「自分向けではない」と感じるユーザーが多いといったメディア課題も浮き彫りに。リニューアルの具体施策に向けた重要なヒントとなりました。

定量調査をベースに定性での調査も実施し、戦略設計&ユーザーインサイトを深堀り

TesTee社が実施した定量調査結果をもとに、さらに具体化された戦略を練り上げたのは、UXデザインのエキスパートであるTHE GUILDの渡邉氏。


「本プロジェクトでの重要課題は、コンセプトを決めること。メディアのリニューアルが失敗しがちなのは、コンセプト設定の基準に、色や形など、表面上のことを置いてしまったり、ユーザーではなく作り手側の思いを中心に考えてしまったりすることが多いことに起因します」(株式会社THE GUILD・データストラテジスト/渡邉氏)

そこで今回のリニューアルでは、失敗に陥らないよう意識すべき3つのポイントを設定し、プロジェクトに反映させていきました。


1つめは「勝てる領域を探すこと」。TesTee社による定量調査結果をさらに発展させ、情報の不可欠度とブルーオーシャン度を、情報の接触頻度とともにマッピング。ターゲットの興味カテゴリの強度を可視化した結果、カテゴリの類似性から「美・健康」「スマートライフ」という、後のコアコンセプトとなる2つのキーワードを抽出しました。


2つめは「独自性を築くこと」。ターゲットの深いインサイトを掘り起こすべく、定性調査(デプスインタビュー)を実施して、ターゲットの実像をつかんでいきます。


定量調査をふまえ、「美・健康」「スマートライフ」の情報を収集している本メディアのターゲット世代(40~50代女性)にインタビューしたところ、デスクリサーチ上は「華やか」「高い消費意欲」「美容・健康好き」といった側面に光が当たりがちですが、実際には、コロナ禍、不景気などの時代背景から、先行きを不安視する声や資産運用の悩みなど、「スマートに(賢く)生きていかなければならない」という強い思いが見え隠れしているのを発見。「美・健康」のみならず、その裏側にある「スマートライフ」への興味関心にも応えるメディアとして、他にはない「独自性」を見出すことに成功しました。


また、定量調査で抽出された2つのキーワードに対し、定性調査によってその重要性が裏付けられたことで、3つめのポイント「編集部が共有しやすいコンセプトにすること」もスムーズに実現。チーム一丸となり議論を重ねつつ、2つのコアコンセプトが生まれるプロセスを共有できたこともあり、向かうべきメディアの方向性について編集部のスタッフ全員でコンセンサスがとりやすい環境が生まれたといいます。


UXデザインを考えるにあたって欠かせない「リサーチ」。今回実施した定量・定性両面での事前調査は、メディアにおける全体戦略の設計はもちろん、現場におけるより具体的な課題も浮き彫りにし、その後のコンテンツ開発に役立っているようです。


「定量調査は、注力領域の可視化に加え、サイトカテゴリの修正にも参考になりました。以前は“BEAUTY&FASHION”“BODY&MIND”といったように英語でしたが、ユーザーファーストを考慮し、日本語のわかりやすい表記に変更しました。また定性調査では、ターゲット世代のマネーへの関心の高さを直に感じたことがきっかけで、記事のテーマとして注力したり、“美容”も、単に若さを求めるのではなく、“年齢に応じた若々しさ”“加齢との付き合い方”というところまで掘り下げて考えられるようになりました。記事自体にはポジティブな意見が聞かれたことも、現場スタッフが自信をもてるプラス材料にもなり、有意義だったと感じています」(株式会社小学館「8760 by postseven」・編集長/大橋氏)


後編では、事前リサーチでつかんだコアコンセプトを、メディアのリニューアルに落としこむプロセスから、リニューアル後の変化についてまでを紹介していきます。


後編へ続く▶▶▶

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