CCI MediaDock イベント報告

MEDIA DOCK CONFERENCE:
ブランド価値向上と収益最大化を目指して
〜デジタルメディア運営で注目すべき5つのポイント〜

デジタルメディア運営にあたって、日々進化する多種多様なテクノロジーをフォローし続けることは欠かせない。これは、ネット発信の媒体のみならず、トラディッショナルな出版社であっても同じことだ。

中でも現在、多くのデジタルメディア運営者が関心を寄せているテーマと言えば、読者(ユーザー)の行動履歴等のデータをどう活用するか、だろう。これは同時に、個人情報をどう保護しながら取り扱うか? というテーマを考えることでもある。


このように守備範囲が広がる環境において、単独で価値最大化や収益向上を目指すことに限界を感じる向きもあるだろう。そうしたことから、テクノロジー領域やデジタルメディア運営の勘所を外部の専門集団と協業して補うことで、最短ルートでゴールを目指す媒体社も増えてきたように感じられる。


その選択肢のひとつとなるべく誕生した「CCI MEDIA DOCK」は、現在、CCIオリジナルソリューションのみならず外部のソリューションパートナーと連携し、さらに高度な専門知識を持つ社員を派遣することで、媒体社ごとに最適な形で各種サービスをカスタマイズし、課題解決に向けた取り組みを柔軟に推進している。


その成果報告や新たなソリューションの紹介、そしてなにより「新たな年を飛躍の年にする!」という強い意志を胸に、12月21日(金)に開催されたのが「CCI MEDIA DOCK CONFERENCE」だ。ここでは、その様子をレポートしたい。

株式会社サイバー・コミュニケーションズ メディア・ディビジョン日吉ディビジョン・マネージャーの「今年度は、いろいろなことがあったが、印象としては“しゃがんだ"年だったかもしれない。しかし、だからこそ、来年の飛躍を願ってお祭り気分でこの時間を過ごしてもらいたい」との挨拶から始まった本会。お祭りのような趣向の会場では、スポンサー企業によるブース出展と1社10分のプレゼンテーションが同時に行われ、大変活気に満ちたひと時となった。

個人情報、パーソナルデータの活用に方向性が見え始めた2018年

IT業界で2018年のホットトピックスを挙げるなら「EUのGDPR施行をはじめ、個人情報の保護規制が強化されたこと」が真っ先に思い浮かぶことだろう。このテーマをフックに10分間のプレゼンテーションを行ったのが、株式会社DataSignの太田祐一氏だ。

同社が提供している「DataSign FE」は、ウェブサイトのパーソナルデータの活用方法を見える化させることに貢献するソリューションだ。一般的に、サイト内の行動履歴がそのサイトの運営者にもたらされることは知られるようになってきた。また、これをプライバシーポリシーのページで明示し、必要に応じてパーミッションを取るようになっている。


だが、実際のところ、サイト運営者側も把握していないところにパーソナルデータが送られている場合があると言う。たとえば、近年、各種ウェブサイトでは、記事拡散等を目的にSNSボタンが設置されるようになっているが、設置されたページの行動履歴がSNS側にも送信されていることはあまり知られていない。そうした気付きづらいことを「DataSign FE」は明らかにしてくれるそうだ。


同氏は「世界的に、パーソナルデータの取り扱いをより正しく行うよう求める機運が高まっている。サイト運営者側は自身の透明性をしっかりと示す必要がある。『DataSign FE』を活用すれば、『このウェブサイトで何らかのアクションを取った際、どのようなサービス提供者にパーソナルデータを送信しているか?』をユーザーに明示することができる」とした。

広告の品質に目を向け、ブランド価値毀損を防ぐ

高度化・ネットワーク化するweb広告について、その品質のコントロールを媒体側でしきれなくなっていることに危機感を抱くパブリッシャーは少なくないだろう。記事やメディアブランドにそぐわない広告クリエイティブが表示され、ユーザーから不評を買ったり、それが元になってユーザー離れを起こしてしまったり、といったことは価値毀損の最たるものだと言える。

そうした課題の解決策を提案するのは、カナダに本社を置くINDEX EXCHANGE INC.だ。同社では、広告品質の担保と向上のため、24時間体制でスタッフによる目視チェックを行いクリエイティブチェックやマルウェアによる脅威等をスクリーニングしている。これにより、ユーザー・エクスペリエンスを阻害せず、かつ、メディアブランドを毀損しない広告運営を支えていると言う。


登壇したジェームズ・プルドーム氏は「我々の品質は、certification(認証)、categorization(分類)、control(管理)と、3つのCで支えられている。広告を高品質に保つことでパブリッシャーの収益確保とエクスペリエンスの価値を与えている」と自社のサービスについて語った。


☆INDEX EXCHANGE INC.とCCIの取り組みについて詳しくはこちら

https://www.cci.co.jp/news/2018_05_15/1-23/

若年層のメディア離れ「は」起きていない

しばしば、パブリッシャーは若年層向けのクリエイティブについて頭を悩ませている、と言われる。また、中には、若年層は「メディア離れを起こしているのではないか?」との声も聞かれるものだ。

こうしたギモンに対し、ロッテ・クランキーやエースコック・スーパーカップMAXなどのCMクリエイティブを担当し、若年層マーケティングを成功させてきたオノダタカキ氏は、次のように自身の見方を示す。


「若年層のメディア離れ”は"起きていない。ただし、その情報粒度は異なる。インターネットの黎明期からこれに接してきた大人は、ネットの海を彷徨い、探すことを苦にしない。だが、彼らはネットの広大さを知っているから不安を感じないし、おもしろいことはやってくるから探しにもいかない。その違いは大きいだろう」


同氏によると、若年層にとって、個人の動画やプロが作った広告、パブリッシャーのコンテンツは並列の扱いになっており、その中の「おもしろい」を知りたいと考えているとのことだ。数あるコンテンツの中でもより身近に感じてもらうためには、彼らの生活に寄り添い、言葉遣いやトンマナに至るまで親和性を感じられるよう注意する必要があると指摘する。

だが一方で、「たとえばスーツを着ている人が自分たちの言葉遣いをマネして近づいてきても、彼らは違和感を覚えるだろう」とも語った。


では、どうすればいいのか? 1つの答えとして、オノダ氏は「今は企業が発信している感があるが、(コンテンツを発信する側そのものに)人間味のある温かさを感じられるように人格を形成してみるのはどうか? ヒト感を打ち出してコトをおこし続けて共感を呼ぶことが、若年層へのマーケティングのキモになるのではないか」とした。このことは、若年層へのマーケティングを検討する際のヒントになるだろう。

EC、動画広告は次の次元へ

動画広告の訴求がより大多数になっていくと想定される今日。その技術進化も目覚ましい。だが一方で「特別なアプリを経由しないと閲覧できないとなると、それをダウンロードする手間やいちいち起動しなければならないという煩わしさが出てしまう。結果として普及が難しいのではないか?」との課題も挙げられる。


そのひとつの解決策が、パロニム株式会社が提供するインタラクティブ動画サービス「TIG(ティグ)」だ。動画内にあるたくさんの要素にタッチできるようにし、より詳細な情報へ誘導したりECにつなげたりするなどの導線を設計することが可能になる。

同社の小林道生氏は、配信されている動画広告をサンプルとして提示しながら「動画内に埋め込まれたタグに触れることで、そこに出ている商品の情報を見られるようになっている。ブラウザベースで稼働するので、アプリダウンロードや起動の必要がなく、スマートに楽しめるのが特徴だ」と、解説した。


だが、たとえば広告枠のエリアは限られており、動画のサイズも制限がある。そのクリエイティブの中にタグを埋め込み過ぎれば、本来見せたい要素を隠してしまったり世界観を崩したりすることになりかねない。ブランド毀損や誤タップ等も心配されよう。


小林氏は「TIGでは、動画を汚したり世界観を崩したりしないよう配慮している。最近は、タグを付ける場所によってその後のアクション率に変化があることも分かっている。そのあたりのノウハウと合わせて適切な見せ方ができるようソリューションを提供していきたい」とした。

動画広告最大の課題、高コストにも変化が

株式会社Kaizen Platformの筑波次郎氏は、5Gも含め環境が整ってきたことで2020年までに現在のweb広告の75%が動画になるのでは、と予想していると言う。だが、普及にはやはり課題が多い。

「動画広告の制作には、多くの手間がかかるし費用も高額だ。また、ハックしづらく、良いクリエイティブと普通のものとの差が出づらい。結果として、作りっぱなしで終わっているケースが多い」と、筑波氏。動画広告の普及には1本あたりの制作費の低下あるいは高効果のいずれかの実現が不可欠だ、と語った。


そこで、同社では高速で動画制作ができるスキームを構築。5営業日で動画を納品する「Kaizen Ad」というサービスを提供し始めた。このサービスでは、簡単なブリーフィングを送るだけで、1万人のクリエイターに業務を依頼できるとのことだ。制作にあたっては、同社が持つ動画広告に関するノウハウが盛り込まれるため、より良いパフォーマンスが期待できると言う。


制作面では、元の動画がない場合でも「ウェブサイトにあるランディングページを素材にして動画に起こし直すことができる。過去、いくつかのクライアントがそうして動画広告を制作・配信し、バナー広告よりも高いパフォーマンスを得ている」と、事例を紹介した。


長い記事や難解な記事などの場合、どれだけ内容が充実したものであっても、ユーザーがじっくり読む時間を確保できず離脱してしまう、といったことは残念ながら起こりうることだ。だが、まず動画でダイジェストを見せ、そこから記事に誘導することができれば、興味関心を持ったユーザーにしっかりと認知促進や理解を深めるようアプローチすることができるだろう。そうなると、アセットとしてのコンテンツがまた新たな価値を生み出すことにも繋がるはずだ。

ブースでは1 on 1で最新のソリューション紹介が

今回のイベントでは、スペシャルスポンサーとして、4社がブースを出展した。


イスラエル発の国防レベルの技術力で、リアルタイムにviewable&ブランドセーフなネットワークシステムを提供するサイバーセキュリティーカンパニーCHEQ AI Technologies Ltd.

大量のデータをリアルタイムで収集し、統合するためにカスタマーデータプラットフォームを提供する、トレジャーデータ株式会社


動画配信事業者の広告収益最大化を目的に、高度なプログラマティック技術や最新のライブ配信技術も提供する動画広告配信プラットフォーマー、SpotX,Inc.


プレゼンテーションも行った、北米および欧州の大手アドエクスチェンジ事業社 INDEX EXCHANGE INC.


各ブースでは、CCI近くの築地名物をツマミながら、製品の特性やコンセプトをパブリッシャーに解説する様子が見られた。こうした最先端のテクノロジーについて、開発者などから直接説明を受ける機会はパブリッシャーの皆様にとっても役立つ時間になったことだろう。


今ある課題や潜在的な問題への解決策を提示しつつ、連綿と引き継がれた記事作りのノウハウや媒体が築き上げた価値を新たな価値に転換するようにサポートするのがCCI MEDIA DOCKの役割だ。引き続き、パブリッシャーの皆様がそれぞれの個性と価値を高められるよう尽力していきたい。


執筆  C-driven
撮影  久保侑也

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